"深読み"の美学

曇りのち晴れ。さむーい!こんばんは、林佑香です。

過日、下記のツイートを目にした(俺はまだ"Twitter"にいるので)。

https://x.com/_medama_yaki_x/status/1722190193980232027?s=46&t=MlUSGvLTrHJFWa2e1pWsOw

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ちいかわがどうの、というのは置いといて、オタクとそれ以外の間ではこうした齟齬が起こることはよくあるなあと思った。シンエヴァが公開された時、その考察を会社の同僚と話していたら(一方的に俺が話していただけかもしれない)、「そこまで考えて作ってないでしょ。考えすぎだろ」と呆れられたのを思い出した。は〜〜〜〜〜〜?????お前、エヴァを作っているのは庵野秀明だぞ????家族みんなで楽しめるニコニコ仲良しエンタメを作る男だと思っているのか?????オタクの中のオタク、変人の中の変人だぞ???????表面的に見えるものだけが全てだと?そんな作品を作ると思っているのか?????と激早口でまくしたててしまった。同じことはジブリでもあった。宮崎駿をにポカポカ朗らかおじさんだと思ってんのか??????アホかお前????つって。

「作品を読む」という営みについては、文化圏によって大きく意味が違うなと感じる。俺は大学は文学系の出身で、作品を読む(映画でも絵画でも音楽でも"読む"と表現したい)ことの訓練を積んだ方だと思うが、そういうのに触れたことがない人は、書かれてることの意味と書かれてないことの意味を掘り下げる技術がないというか、そもそもそうした掘り下げに全然興味がないと感じる。表層的に感じること以上のものに関心がない、感じ取れないことは妄想のレベルとさえ思ってるように見える。俺はすぐ"深読み"をする(深読みではなくただの"読み"にすぎないのだが)から、映画でもディズニーのショーで、目に見えるものからバックグラウンドとか表現したいものを読み解きたくなる。別にどちらがいいということはないし、表層的な感想が意外と芯を突くこともある。"深読み"しないと作品は楽しめないよ、とは思わないが、"深読み"をオタクの悪癖とするのは作品にリスペクトがないというか、クリエイターを舐めすぎという感じがある。作品が、ある日突然、天からのお告げで生まれると思っているのだろうか。他方で、「自分の考えが及ばない講釈を、頼んでもないのに聞かされるのは鬱陶しい」というのは分からんでもない。俺も全然興味ないスポーツの試合の解説とかされてもつまんないもんな。俺は作品は"深読み"しないよりした方が200%面白くなると思っているのでそうしているが、そう思わない層もいるというのは改めて頭の片隅に置いておこうとは思った。

でもなあ、やっぱさあ、読み解きたいと思うんだよな。人が作ったものを十全に味わいたい。家系ラーメン食べて「しょっぱいよ!」って文句言う人がいたら、(いやそういうコンセプトだから、、、)と思わないだろうか?テツアンドトモを見て「ちょっと調べたらわかるだろ!」とはつっこまないだろう。ディズニーのパレードを見て「音がでかすぎる!」なんて言わないよ。それらは、表現の意味、意図を読んでいるからだ。感じたことそのままよりも、意図を優先しているからだ。俺はなるべく意図を掬いたい。損したくないみたいな部分もあるけど、とにかく全部受け止めきりたい欲求がある。だから調べたり考えたりして、表現の目的を読もうとする。興味がないならいいけど、別に表層的な読み取りが正義ではないからな、とは思った。