若手以上、中堅未満のわたしvs社長

晴れ。もう半袖です。こんばんは、山之内すずです。

今日、弊社社長と話していた。

「お前ら日経とか読んでんのか」

「読んでないですね、、へへ、、」

「だよなぁ。なーんかうちの社員て、仕事はちゃんとやってんだろうけど、世の中のか社会のこととかに疎いんだよなあ」

「はあ」

「狭ーい世界で仕事してないか?世の中いろんなことが起こってるし、それらは無関係じゃないんだぞ」

「ですねえ」

「もっとさあ、広い世界を知ってもらってさ。色んなことを知って色んな仕事ができるようになってくれよ。大谷翔平なんか世界を股にかけてるじゃないか。君より歳下だろう」

「ですね、体脂肪率ぐらいしか勝てないですね」

「いろいろさあ、ニュースとか読みなよ!おつかれさん!」

「さまでーす」

社長氏が言うこともわからんでもない。実際のところ、俺は32歳にして驚くほど社会情勢や経済動向、政治などに興味がなく、いまなにが日本で問題になってるか?と聞かれたら「う〜〜〜ん、少子高齢化!w」とヘラヘラ答えちゃうくらい知識がない。世界に視野を向けてるのか?と言われれば当然向けてはいないのであり、専らその日の晩御飯と週末の予定だけを考えて生きている。そんな社員ばかりでは、新しいアイデアも生まれない。こうべを垂れて、上から降ってくる仕事に黙々と取り組むだけ。イノベーションもなにもあったものではないし、会社が現状よりも高いところへ、大きな規模へ向かうこともままならないだろう。それに、いくら弊社がヘボヘボコーポレーションとはいえ、国際・国内的な経済や文化の揺れ動きには無関係ではいられず、いつかはその波は我が会社とその顧客達へ到達する。その時に迅速にアクションをとるためには、当然、遠くで起こりまだここに来ていない波のことを知っておかなければならない。社長の危惧もごもっともである。

ごもっともであるが、だからといって改善する気には1ミリもならない。だいたい、日経を毎日きちんと読んでいるらしい弊社上層部から出てくる意見と言えば、「何が起こるかわからない激動の時代になっている!」「価値観の変容が起こっている!」みたいなふんわりとした危機感だけで、じゃあ具体的にどうするかは日経を読んでいない現場に丸投げされているのが現状だ。日経とニュースに教えてもらった大局的な視点をもって、"価値"を売ろう!消費者はただ安いだけのものは欲しくない!なんてカッコつけているかと思えば、安さだけがウリみたいな競合他社の動きに右往左往しちゃって、ちっとも軸がない。確かに弊社社員はみんな社会情勢に関心がなさそうで、比較的職人気質な人間が多い。結局のところ、会社が社員をそういう人材にしてしまってるんだと思う。全社員が毎日出社後30分は日経を読むことにしたとしても、「狭い世界で仕事をしている」ように見える社長氏の危惧はなくならないだろう。なぜならこれは知識量の問題ではなくひとえにモチベーションの問題で、本部で重要な仕事をしている社員の多くは、入社してからこれまでのどこかで自身のモチベーションを折られてきた人な気もする。社長氏は「いつまでもおんなじことばっかやるんか?うちの会社だけでも色んな部署、仕事があるんだぜ」とおっしゃるが、その割に弊社は人事があまり動かず、一つの部署に10年前後いることも少なくない。業務改善案、効率化案を募る割に、こっちが案を出せば「でも今のやり方にも理由があるから」と現状追認を前提して話が進められる。数字を安定させるための品揃えを構築すれば「見栄えが良くない」と文句を言われ、見栄えを意識して数字を落とす(これは小売あるあるなのだ)と「数字を出せ」と詰められる。日々の業務についていえば、"ルールをつくり、それを徹底する"的な思考が会社を支配しており、一度できたルールが振り返られたり、逸脱を許されたりすることはあまりない。また業務の多くは1〜2人の社員に集約されており、事業拡大や既存事業の新たな試みについても人員補充はなく、雪だるま式に業務は増えていく。そうすると、一つの業務にさける意識の量が減るため、仕事のクオリティは落ちていく。おまけに圧倒的なワンマン体制のため、社長ないし常務取締役あたりの指示が社内の法であり神の福音として扱われるきらいがある。そうすると社員はだんだん、自分で考えるのが嫌になってくるし、上のご機嫌を伺いつつ、妥当な着地点を探るようになる。そうして出来上がるのが現在のソルジャー軍団であり、間違ってもクリエイターやイノベイターは育ってこない。実際、前へ踏み出す気質の人間は早めに会社を辞めていった。こういう社風が、日経を読んだら、ダイヤモンドを読んだら変わるのだろうか?

冒頭の会話を、いちおう上司に報告したら(うんうん、俺も社長と同じ意見だな)みたいな顔で頷いててキモかった。