ありのままではいられない

雨のち晴。雨勘弁してください。こんばんは、小西真奈美です。

最近の弊社社長は、社員に「エネルギー」がないことを心配されている。仕事は一生懸命やっているようだが、なんとなく活力がないというか、外向的エナジーが不足していることを懸念しているようだ。まあ、要するに元気がないってことだろう。社員に元気がないのは確かだ。先日、とある取引先へ訪問したのだが、社員がみんな若く、我々に溌剌と挨拶をしてくれる。動きもシャッキリしてて爽やかだ。翻って弊社を見ると、みんな肩をすくめ、下を向いて重苦しそうに歩いている。社員同士がすれ違っても「おざーす」「おっかれーす」ぐらいのものである。こんな状態では前向きな仕事なんかできるはずもない。これは、前回の記事でも書いたが、要するにモチベーションの問題で、社員が会社に対して自発的・主体的に参画していないからこうなる。こういった現状に対して上層部は、「落ち込んでても数字が良くなるわけじゃない。前を向いてやらないとうまく行くこともいかなくなるぞ」「そうだ、目標を立ててそれに向かえば前向きになるだろう」と鼓舞するだけである。果たして、弊社人事部は、採用段階から消極的で悲観的な人間ばかりを厳選して入社させているのだろうか?否、みんな最初はそれなりのモチベーションを持ったいたはずだ。それが一様に内に閉じこもって仕事をするようになるならば、組織そのものに問題があると考えるべきだが、上層部は単に現場が拗ねてるだけだと思っているようだ。全く弊社のお偉方は自省の心がなく、さぞ生きていて楽しいだろうと感じるが、俺から見ると社員のモチベーションが低いのは明らかに上層部に問題があり、社員誰もが、上層部の気に入るような建前をつくり、その裏で数字を残す泥臭い企画を積み上げていくのが最適解だと見出すようになる。ついでに言うと、多分だが、いまの弊社の社員は、社長が現役プレイヤーだった時代(=社員に「エネルギー」があった時代」)に比べて相当真面目かつ精緻に仕事をしていると思う。当時よりも数値管理の方法自体が正確になっているし、より広範な数値を扱えるようになっている。現況、確かに小売の業績は不振の傾向にあるが、それをきちんと受け止め、対策しないとならないと考えているからこそ肩も落としたくなるのだ。ところが上層部は未だに昭和のノリで、98点を取っても2点のロスを責めるようなマネジメントをしているし、最終的には上層部が気にいるかどうかで全てが決まるため、社員が自発性を発揮するのはエネルギーの無駄になる。さらに、ここには書けないような情けない社内コミュニケーション、カルチャーが蔓延しており、誰も明るく仕事をしようという雰囲気にはない。

弊社は業界内では給与水準が高い方(アパレル業界は小売もメーカーも基本的に薄給で、弊社が高い方とはいえ、他業種に勤めている同年代とは大きな給与差がある。事実、俺の弟は5歳年下で、上場企業に就職したが、すでに俺と年収が変わらないと言う)であり、転職するのも面倒という人材がしがみつくことで人員が揃っているような感じであり、あと50万年収が低ければ誰も残っていないだろう。社員のモチベーションが低いというのは割と由々しき問題だと思うのだが、いまいち弊社には危機感がない。叩いてやらせればいいと思っているからだろうか。

他方で、逆の視点から言えば「現場がちゃんとやってりゃあ俺たちもヤイノヤイノ言わなくて済むんだよ」という気持ちもあると思う。これは管理職になると本当に強く思うことで、部下を抱えると、頼むからちゃんとやってくれ、俺に注意させないでくれと日々祈るばかりだ。自分も散々上から言われてきたから、それがどれだけ嫌かはわかっている。それでもうまくいっていないことをそのままにはできないから言わなければならない。全部自分ができたらどんなに楽だろう、自分があと3人いればどんなにいいだろう、管理職はいつもそんなことを思っている(たぶん)。

さて、ここにきて想定上、双方の言い分がある状態で不和が起こっている。管理職は「現場がちゃんとしていれば言わなくて済むのに」と思っており、現場(俺)は「上がまともなら俺らもちゃんとやるよ」と思っている。俺はこの会社に入ってから色々と怒られたが、ひとつだけ心に留めている指摘がある。当時もやはり、所属する課の業績が悪く、その対応でムギュウとなっていた時だった。業務的にかなり厳しい対応が必要だったのだが、当時の上司にこう言われた。

「自然にしていてうまくいっていないこと、"いつも通り"やっててダメな場合、それを是正するためには必ずどこかにストレスがかかる。それは君自身にかもしれないし、君じゃない誰かにかもしれない。だがそのストレスなしに状況が好転することはないから、それはやるしかない」

当たり前といえば当たり前なのだが、俺は本当にストレスを受けることが嫌いで、誰もが苦しまない形でなんとか好転させられないものかといつも考えていたから、これ以降少しはストレスを承知で前へ進めるようになった気がする。さて、現在の弊社では、現場の活力がないという"不都合"が起こっているのだが、打破するためには現場が発奮して元気にやるか、マネジメントを変える必要がある。どちらが変わるべきだろうか。もったいつけたが、結局、上が変われば?と思っている。この"不都合"を問題にしているのは現場ではないからだ。問題だと思っている側が変えるのが筋だろう。いい加減にしろ。