他人の内輪を上からのぞくような気分

晴れ。真冬の装備だと少し暑い。こんばんは、ホン・ウンチェです。

今日は千葉の奥地まで出張で、5時起きで電車に飛び乗り、この記事を書き始めた21時半段階でもまだ家に着かない。来週もこの手の地方への早朝出張があってとてもいやだ。俺は早起きが苦手で、早起きをすると寿命が縮むような思いがする。関東を主として出張に出ることは間々ある。都会ではなく、住宅地とか、誰かの実家みたいなところに行くことが多い。都会が好きで田舎から上京した俺からすると頭痛がするような田舎で、毎日何が楽しみで生きてるのだろうかみたいなところなのだが、そんなところにも人がぎっしりと住んでいて、各々の生活を営んでいるようだ。それらの生活はそれぞれ幸せだったり不服だったりするんだろうが、そうした満足度のムラは都会でもきっとあるのだろうし、ま〜〜〜どこに住んでも自分次第なのかな〜〜という"気付き"めいたものをひらめいてみたり、いやいやそれでも、その地に住むための文脈とか相性っていうのはあるよなと我に返ってみたりしている。

地方に行くと、その場所では市民権を得ている地元の有名人とか、聞いたことない名前のスーパー、意外な特産品などを見るのも楽しい。特に関西まで出ていくとカルチャーが大きく違う感じがして楽しい。大阪でテレビをつけると、どのチャンネルをみてもたむけんが司会をしているし、ひな壇の先頭には月亭八方師匠がいて、後ろの方にはミサイルマンシャンプーハットがいる。関東では絶対に見ない景色であるし、ちょっとダラダラとしたノリも新鮮である。宮城にいくとそれはそれで地場のノリがある。夕方には「oh!バンデス」という激ゆる情報番組があり、駅前のデッキからの中継などをダラダラと流す。ちょっと他では見ないくらい高齢のじっちゃまがMCになっており、本人としてはうまくまわしたったぞ、という雰囲気でアナウンサーやレポーターとやり取りをするが、その自負がスケスケなのが薄ら寒く、それがまたローカル特有の旨味を生んでいる。俺の生まれた秋田にも、バリトン伊藤とシャバ駄馬男というローカルタレントがいて、ふたりで番組やったりCMに出てたりしている。バリトン伊藤はリーゼント?モヒカン?ヘアーにロカビリーファッションのビジュアルのたった外見で、強い秋田訛りでトークをする。特に笑いとかがあるわけではない。シャバ駄馬男は、その最高すぎる芸名と裏腹に、ビジュアルはちょっと若い風のただのおっちゃんであり、これといったシャバダバ感もない。この2人をテレビで見ていると、地元ながら不思議なローカル感に包まれ、「これはここでしか見れないなあ」と当時から思っていた。

もともと俺は旅行アンチである(東京が世界で一番いいところだと思っている)から、仕事でもないと遠出することはないし、できれば早起きして出かけるなんてことはしたくないのだが、したらしたなりの発見もあるというものである。不得手なことでもしたらしたなりに楽しいというこの感覚も、加齢と共に培われた、世界と自分の摩擦を減らすための処世術といった趣である。