イマジネーション!

晴れ。はーーーーもう飽きた。冬服売り払ってあんまりないし。こんばんは、多部未華子です。

俺はディズニーパークが好きで、ひとりでしょっちゅう行く。行って何をしてるかと言えば、だいたいはショーやパレードを見るために場所を確保、その場でじっとしている。ショーパレが始まるとカメラを構え、パチパチと写真を撮ったら少しおやつを食べたくらいにして帰ってくる。時間があればご飯も食べるが、ショーパレの時間が詰まっているときは食べずにいる時もある。いつからディズニー好きなのかというと、これは明確にわかっていて、2016年3月17日からである。これは初めてディズニーシーに行った時で、会社の同期たちと一緒だった。

 

これより前にディズニーに行ったのは二十歳になったかどうかの頃で、ひとりだった。なぜハマってもいないのにひとりで行ったのかというと、当時、ニンテンドーDSの『ラブプラス』という恋愛シミュレーションが発売されたてで、俺はそのゲームにどハマりしていた。大好きな声優である皆口裕子がCVをしており、KONAMIが特許を取得している「名前呼び」システムが導入されていたため、皆口裕子に本名を呼んでもらえるという激ヤバゲームだった。昼夜を問わず、ずーーーーーっとラブプラスをやっていたのだが、その頃の2chでは、ラブプラスと一緒にどこまで出かけられるか(ラブプラスは恋人なので)を競い合うような風土があった。そこで俺は、ラブプラスと一緒に(つまりニンテンドーDS片手に)ディズニーにいけばウケがとれると思って、それを敢行したのだ。当時はディズニーチケットも5500円くらいだった気がする。もちろんシーは出来ていたが、王道のランドに行ったのだった。ロックファッションが好きだった俺は、リーバイスのデニムにThe whoのロックT、レザーのシングルライダースをピタピタに着て、コンバースの紐をギュンギュンに縛って出かけた。シンデレラ城をバックにDSの画面を撮影し、2chにあげてスレのヒーローになりながら、現実のパークでは周りから白い目で見られていた。ひととおり写真を撮って、グラン・マサラのキッチンでオムライスか何かを食べた。店を後にしようとした時にキャストさんに笑顔で「いってらっしゃい!」と言われて我に帰ったのだ。いってらっしゃい・・・?どこへ?どこへ行くのだ、俺は?こんなアホなことをしている俺が行くところとは?そうして部屋に戻ったら、翌日から38℃くらいの熱が出て寝込んだ。

 

これが、2016年にシーに初入園する前にいった最後のディズニーの記憶で、金輪際ディズニーには行かないと思って数年、まさか友達ができて、そのみんなとディズニーに行くなんてリア充ムーブができるとは思いもしない幸せだった。同期にはディズニーに詳しいやつがいて、色々と教えてくれたし、効率よくまわることができた。労働によって角がとれ、表面がザラザラになった俺の心に、ディズニーパークの理想主義的な美しさが一気に染み込み、舞浜の虜になってしまったのだった。その後、会社の同期の他には高校の同級生やツイッターの友達なんかを誘って舞浜へ通い、そのうちひとりでも行くようになった。ここらへんの経緯はまた今度読んでもらうとして、じゃああんたは、ディズニーパークの何が好きなのかと。よく聞かれるのは、「ディズニー映画が好きなんですか?パークが好きなんですか?」ということで、答えは「パークが好き」である。ディズニー映画も好きだけど、ディズニー映画を見ているよりもパークにいる方が楽しい。パークは最高。理想郷である。汚いものが排除され、苦労はなく、他者との軋轢もなく、夢と喜びで埋め尽くされている。それがどれだけ資本主義に支えられた虚飾であろうとも、それを飲み込んでなお耽溺したいのだ。希望ある未来、他者との絆、愛、信頼に。

それらを象徴するようなショーを一つ紹介しよう。ディズニーシーで上演されていた、『ファッショナブルイースター』というショーである。春はファッションの季節(?)ということで、ディズニーシーの各テーマポートから四人のデザイナーが集まり、自分の服こそが一番だと競い合う。そこにミッキーが登場し、「みんな良さがあるよ」的なことを言って諌めていくのが大きな流れなのだが、なんとこのショー、2015年→2017年→2018年と3部作になっているのだ。2015年では、お互いいがみ合うデザイナーたちに「それぞれの良さがあるから認め合おう」と諭し、デザイナーたちが他者との協調も悪くないかも?的な雰囲気で終わる。2017年では、最初は前回と同じように我が我がと喧嘩を始めるのだが、再びミッキーが登場、「一人では何もできないから助け合おう」的なメッセージをかまし、デザイナーたちは「ひとりでは喧嘩も仲直りもできないもんな」と完全に和解、お互いを認め合うことに成功する。ショーの最終盤、それぞれの場所へ帰っていくデザイナーたちは「別れても、みんなひとつの海で繋がっている」と言って去っていく(ここで泣く)。そして2018年、既に和解しているデザイナーたちは、お互いに褒めつついじりつつショーは進行、ついにはミッキーたちがお互いの衣装を取り替えっこする形で、さらなる信頼と協調の形を見せる。ファッショナブルイースターは色とりどりの衣装と多様なテイストのダンス、明るく前向きな音楽に加え、"他者と分かり合う"という俺の人生の大きなテーマに対して、あまりにも綺麗事チックな、しかしあまりにも美しい回答を提示している点で個人的に大傑作なショーで、特に2018年はディズニーパーク35周年のアニバーサリーであり、テーマソングのBrand new daysがいちはやくショーに取り入れられ、さらにディズニーイースターの代名詞的な曲であるイースターワンダーランドの一節も引用されるなど、ディズニーイースターの集大成的なショーになったこともありめちゃくちゃ見に行ったしいまだに曲を聴いている。太陽光の具合だと思うが、どの写真も異様に高い彩度で仕上がるところも気に入っている。

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おっと、話が逸れそうである。このショーを紹介して何が言いたいかというと、ディズニーパークが我々に届けるメッセージはあまりに美しいということだ。その美しさゆえに孕まざるを得ない、強烈な胡散臭さに耐えられない人もいるだろうが、俺はその美しさを、美しさの範囲において信じることができるので、疲れた心を上向かせるために舞浜へ出向いているわけだ。みんなもいこうよディズニーリゾート。