タルトタタン『テトラッド』

明けましておめでとうございます、本年も何卒お引き立てのほどを。



さて、「サブカル」という語は頻繁にネットで目にし、ユーザーもいよいよ食傷なのか、「いったいサブカルとは何か?」なんて問う人も散見される。サブカルは今や大学で講義がもたれるほど市民権を得た(それは「サブカル」なのかという議論を含めて、サブカル現象の熱風は否めないところだろう)。サブカルは基本的には傍流として存在し、カウンターカルチャーであったり単にディープでマイナー、数としては少数派な趣味であったりとまぁ、その形は様々だろう。その語義はともかく、少なくとも、彼女たちが立脚するところは、そう呼ばれることになると思う。



タルトタタンは2012年の、たぶん3月にシングル『しょうがないマイラブ』でデビューした女性二人組ユニットだ。

この二人のことは、去年から、恐らくはデビュー当初から名前は聞いていた。タワレコ渋谷の一階、新作やレコメンドが並ぶこのフロアの中心ほどの位置に、「相対性理論のメンバーがサウンドプロデュース!」みたいな文句と一緒に宣伝されていたのを覚えている。その当時はまだ相対性理論はじめ邦ロックに対してあまり興味がなかったので、一応の試聴だけして、「なるほど、相対性理論っぽいな」でそのコーナーを後にした。


そしてこの年末年始、相対性理論はじめ、モールル、夙川ボーイズ、キノコホテル等々、イマドキのサブカル系邦ロックの良さに気付いた俺は、彼女たちと再び出会うことになった。

実家で、帰省していた兄貴の部屋にいくと、相対性理論っぽいんだけどもう少しキラキラした、なんとも良さげな音楽が流れている。オーディオのそばにおかれていたのは『テトラッド』。


俺「んー?タ・・ターティット・・・・・タルトタタン!ああ!ああ!」



そんなタルトタタンだが、相対性理論の元メンバー、真部脩一と西浦謙助が作詞作曲をしており、方向性としては相対性理論とほぼほぼ同じだと思う(ライブパフォーマンスは知らない)。だが、やくしまるよりも明るい声質や曲調、脱力感はありながらも、よりスッキリと、キャッチーで聴き慣れたような情景が心地いい。
また歌詞も、相対性理論調なゆるふわ言葉遊びは健在で、そのコンテンツは輪をかけて女の子の甘さが漂う。

『テトラッド』は今のところ唯一のアルバムなようだが、非常に完成度が高い。ほぼほぼ完璧といっていい。最強。

俺は「入り鉄砲に出女」がとても好きだ。言葉の流れ方が心地いいし、何より歌詞があざとすぎてくすぐったいんだ。サビの「ああ、乙女珍道中」というのがいい。なんて自分本位、自信があるのかないのか、悲劇なのか喜劇なのか、ダウナーなのかアッパーなのか。そんな歌詞を、やくしまるよりかよっぽど可愛い女の子二人が可愛らしく歌い上げる(しかも両方、前髪ぱっつんなのだ!)かようにして、また、メンヘ・・・イマドキな女の子のステレオタイプが再生産されている。これを男二人がプロデュースしているのだからタチが悪い。


タルトタタン、まだまだサブカルの熱はやみそうにない。