おじさん見習い

晴れ。30℃超え!?もうすぐ10月なのに!?こんばんは、長濱ねるです。

弊社にも毎年数人、新入社員が入社しており、今日はその一人と会う機会があった。朴訥とした青年だったが、監督している上長と話すと「今どきの子だからマイペース。あと、一つの仕事が終わる前に次の仕事に取り掛かってしまう。違うことがやりたくなるだろうか」と話していた。この人はすでに60近い人で、多くの若い社員を見てきて、今になって「最近の子は」と言い始めたわけではないだろうから、まあ本当にそう感じているんだとは思う。昨日、人事部長と話をしていても「君たちくらいの時は、あれやってこい!とかどうなってんだ!とか言っても仕事してくれてたけど、今の子にそんなことを言ったら次の日から仕事に来ない」という。今の新入社員は1999年〜2001年くらいの生まれになるのだろうか?Z世代の先鋒たちが社会に出てきた格好だ。マイペースで、厳しいことからは逃れたい、野心はなく、なるべく平穏に楽しく生きていきたい。まあ別に、その人生観は俺も共感する。ツイッターを見ていると、こうしたZ世代の新しい価値観について「会社に献身するとか軍国主義的な価値観とかが淘汰され、個人の幸福が追求されるのはいいこと」という論調を多く見るものの、俺はやはり、極端に振れるのは良くないんじゃないかと思っている。これは思想や美学というよりもっとシンプルな話で、多くの人間は、辛いことから逃げてマイペースに仕事して暮らしていけるほど優秀ではないと思っているからだ。どんな場所・仕事でもこなせる器用さとか、創り出すものが価値を生む才能とかがあるなら、それを武器に泰然と生きていけるだろうから、それなら結構なのだけど、多くの人間は、鍛えなければ役に立たない凡才のピヨピヨ小鳥ちゃんにすぎない。運に身を任せて配信業や芸能の道に進むのも一興だが、弊社に就職してくるくらいだからそんな度胸もないだろう。新入社員が、貢献度から言えば本来は貰えるはずもない給与をもらえるのはそれが投資だからだ。将来的に賃金に見合った働きをし、永く会社を支えてもらうための先行投資をされている。だから若い子たちは社会の理不尽に耐えて訳のわからんジジババの文句を聞いて成長しないと、凡才なりの人生もままならないのではないか、と俺は考えている。

他方で、俺も辛いことは大嫌いで野心もないから、彼らの気持ちはよくわかる。労働はそれだけで暴風雨のように過酷だから、毎日穏やかに、同じように暮らしていけたらそれだけで幸せ。怒鳴られず、文句も言われず、自然とスキルが身についていけばこれ以上のことはない。ただ残念ながら自分の能力がそこに到達していないから、冷たい雨にも打たれてしまうことがあるなあと甘受しているに過ぎない。新入社員の子たちは俺よりも10年も若く、近い未来、彼らの指導は俺の仕事になる。彼らが穏やかに暮らしていけるかどうかは俺次第という話でもある。思えば我々30代は、ゆとり世代として一時期は社会を震撼させ、話の通じない能天気ポカポカ連中がやってくると言われてきた。そんな我々もいまや社会の中心になりつつあり、そして少しずつ良くなっている(我々にフィットしてきている)部分もある。「マイペース」も「強く言ったら辞める」も彼らが本当にそうなのかはまだわからないところではあるし、彼らが社会人見習いのように、我々もまたおじさん・おばさん見習いだから、僕らでいい社会をやっていこうな。