親の説教と冷酒は

晴れ。ちょっと温度上がってる。いかん、いかんよ!こんばんは、ビョークです。

社会をやっていると、他人から注意されるということがよくある。取引先から、お客さんから、上司から、友達からetc...これは致し方ないことだと思う。人間、社会やってれば注意されることばかりであるからして、これは致し方ない。致し方ないのだが、その中に、少し気になるものがある。それは「あなたのためを思って言うのだ」という一言だ。俺はど〜〜〜〜〜もこいつが気に入らない。言わなくていいのだこんなこと。どういうつもりだろうと注意はしてるのだし、言われた方はなんにせよ気分が悪い。なのにどうしてこれを言うのかといえば、「私の気分で怒ってるのではない」というエクスキューズに他ならない。

このくだらないエクスキューズには、ふたつの効用がある。ひとつは「相手に自分の話を聞かせる」効果。相手が、はぁ〜なんか癇癪起こしてるよめんどくせ〜と思ったら、せっかくの注意も時間の無駄、カロリーの無駄である。個人の感情からくる注意ではないことを示すことで自分の注意の客観性を担保し、相手の受け入れをよくしようというわけだ。ふたつには、「自分を悪者にしない」効果がある。特に仕事の場では私情からの口出しはストレスだし筋が通らない。その注意が個人のためひいては会社のためにならなければ公私混同のワガママBoyがひとり現れるだけになる。自分の注意は有益なものであり、正当な行為である裏付けを、このエクスキューズをすることで確保しようとしている。

俺に言わせれば、これを言う時ってだいたい、あんたが気に入らないから怒ってんだろ?となるケースが多い。本当にそいつのためと思うなら、自分が悪者になろうとなんだろうと堂々と注意するべきなのだ。それが正当だと思うなら、自分が悪者になるのを甘んじて受け入れるべきなのだ(自信ありすぎてところ構わず怒鳴り散らされるのは勘弁してほしいが、、、)。俺の母親もこの手のエクスキューズを入れてた時がある。スーパーかどこかで玉子焼きを買ったのだが、それが傷んでいて食べられるものではなかったらしい。そのクレームの電話を家でしており、そもそもクレームを言うこと自体ムカつくのでやめてほしいのだが、まぁ百歩譲ってそれはいいとしよう。そこで母親は、「他にこれを買った人がいたら、今後同じような目に遭う人がいたら」みたいな言い回しを繰り返していた。俺はそれがすごく気に入らなかった。嘘だと思った。母親がむかついてるから電話してるのをすり替えてるだけだと思った。電話を終えた後、母親に「他人のため、みたいな言い方はやめてほしい。自分が怒ってるんだろう」と言ったのだが、「違う、私はいいのよ。でも他の人にあたったらどうするのよ!」と本気で言っていた。

こんなことを書いたのは、実は最近、俺自身が会社のある先輩から「お前のためだ」といって注意されたからだ。呼び出しを食らって、「上司の話を聞く時の態度が悪い、もっとシャンとしろ」「後輩と接する態度が偉そうでよくない。お前はただ先に生まれたってだけだぞ」「俺だけが思ってるわけじゃない。他の人も同じようなことを言っていて、これはまずいと思ったから言ってるんだ」と注意を受けた。この先輩は、数年前にいた部署の上司で、いまはお互い別の部署に異動し、組織的には俺はこの先輩の監督下にはいない。ただこの先輩は、元々他社で営業をやっていたからか、この手の生活指導的な部分に非常にうるさく、以前俺と同じ部署にいたときも、俺に対して似たような注意をしてキたことがあり、その時も「こんなことをお前に言っても俺にはなんの得もない。俺は監督者じゃないしそんな責任もない。お前が嫌な思いをして俺を憎むだけだろう。それでも、この先お前が損をするだろうから言ってるんだ」と言っていた。なんか、百歩譲って前の部署の時は一緒に働いてたからいいけど、いまは注意される筋合いはなくて、俺のいまの上司が言うことちゃうんか?と思ったし、結局あんたにとって俺が気に入らないんだろ?という思いを拭いきれなかった。その一方で、「おまえのために言ってる」っていうのは本気なんだろうな、とも思う。これは母親の電話を聞いた時も思った。本気で「相手のため」あるいは「誰かのため」と思って怒っているんだと思う。たしかに、この先輩が自分で言うように「注意することで俺には何の得もない」のだ。それでも注意するからには何か別の、注意された側から恨まれてもなお達成したい目的があると考えるのが自然だし、本人の中では「相手のため」というのがそれなのだろう。それでも、その「相手のため」というのがそもそも独りよがりなのだ。これが、業務上ミスを起こしうる操作であるとかなら、それを予防する目的で注意するのはよくわかる。しかし、この先輩が俺に言ってきたのは「お前が悪く見られてしまう」ことを危惧してのことだ。ちがう、「お前が悪く見られてしまう」のでなく「おれがお前を悪く見ている」から注意してるのだ。俺はここの転倒が納得できない。特にこんな生活指導的な注意は(受ける俺も問題あるが、、)当人同士の関係性において解消されるべきことで、横から口を挟まれる筋合いはない。特に後輩との関わり方については、俺がその後輩のマネジメントしてるだけに余計である。

別に、「俺からみて気に入らないからやめろ」といえばいいのだ。そっちの方がずっとスッキリしている。相手のためだというなら「いやそれはこっちの問題なんで」といわれればそれでおしまい。二度と注意できなくなる。そう返されたとしてもどうせ注意したいんだから、ハナから自分の癪に触るといえばいいのだ。相手のためだと思うならもっと穏便に諭してくれ。俺は他人から注意されるのがめちゃくちゃ嫌いだ。注意されると、その日は一日中そのことを考え続けて頭が回らなくなるし、こんなブログを更新する始末なので、俺が100%悪かったとしても絶対に注意されたくない。

とはいえ、流石に30ともなると、こうした注意も(お前が気に入らないだけだろ)と思いつつ、言ってくれてありがとうございます!とか返せるようになったので、まあ全部が全部つっぱねるというガンコちゃんではない。でもやっぱり、「お前のためを思って」っていうのは嘘だと思う。これってやっぱ他人の善性を信じられない私の歪みですか?