『メン・イン・ブラック3』

地球にやってくる宇宙人を管理したり撃退したりする極秘組織をコメディに描いた『MIB』シリーズの第三弾(なんだかすごく映画紹介っぽい書き出しだ)。第一弾はもう15年も前の作品である。えーそんなに前なのか。

俺はこのシリーズが大好きで、父親が当時小学生の俺に「この映画、ほんとオカシイんだ、一緒に見よう」と見せてくれたのがきっかけで、Kが犬っころをブルブル振るうシーンとか、バグのコミカルな動きなんかでお腹抱えて笑ってた。本当に楽しい映画だなぁって思ったし、『2』が出たときも鼻息荒く見に行ったし、今回みた『3』も、それが出るって知ったときも前のめりでCMにくいついてた。


主演のトミー・リー・ジョーンズは日本ではこの映画のイメージが強いようで、コーヒーのCMにも(映画ではエージェントであるはずが)なぜか宇宙人として出演している。しかし(ウィル・スミスと共演するくらいだからそりゃそうなのだが)、『ハンテッド』では超シリアスなサスペンスでマッチョな若者と血みどろの戦いを演じたり、『沈黙の戦艦』ではセガールと戦ったり、『バットマンフォーエヴァー』ではあのトゥーフェイスを演じたりしてる、色んなことができる人なのであり、素敵な役者。


さて、『MIB3』だが、あらすじは、月にあるエイリアン用の刑務所から脱獄したハイパー極悪エイリアン、ボリスが、自分を逮捕したK(ジョーンズ)をぶっ殺そうと地球にやってくる。ボリスは過去にタイムジャンプし、自分が逮捕される前にKを殺してしまう。そのせいで現代のKは消失、歴史は書き換えられてしまった。これはマズイと思ったパートナーのJ(ウィル・スミス)、いそいで過去にタイムジャンプして歴史を元に戻そうとする・・・

タイムトラベルものはSFの定番だけど、時間を飛ぶことによる矛盾とか未来がどうのとかっていうことを考え出すと一気に頭がこんがらがってしまうのもいつものこと。この映画について言えば、そういうことは(他のことはロクすっぽ知らないくせにそういうことにはヤケに詳しい)SFガチ勢たちに任せて、せっかくの『MIB』なのだし、我々はこのコメディの美味しいところだけをすすって鑑賞を終えようではないか。


今回はKとJの過去のお話がメインになっており、冒頭で割とグロめに登場したボリスも、作品を進めるための駒といった印象が強く、過去2作、特に『2』のような、敵役としての威厳はあまりないようだった。それと対照的にアクションシーンはシリーズ最多なのが印象的。多数のエイリアンとの銃の撃ち合いや、ぬーべーに出てきた妖怪みたいなバイクを使ったカーチェイスなど見所多し。

もちろんギャグも忘れていない。14年勤務してもMIB社員のノリについていけないJや、どこにいったのかわからないが遺影みたいに写真が飾られている犬っころなど、『MIB』らしい笑いどころはファンとしても嬉しいところ。

あと、今作は色がキレイだったように思う。Jがタイムジャンプした先は1969年、ヒッピーカルチャーが華を咲かせ、洋服やインテリアの色は派手だし、なんだろ、ラストのロケットのシーンでもパイプや空、草原の色なんかのコントラストはかなりはっきりついてた気がして、意識してるのかなーって思った。BGMもそれっぽい。ニューラライザーや携帯電話なんかも、素材は銀ピカなのにやたらデカいみたいなのもコテコテながらおもしろかった。

そうそう過去といえば、29歳のKを演じたジョシュ・ブローリンだけど、よかったよ。もみ上げシャッキーンとまっすぐにして髪の毛はスーパーマン、スーツは三つボタンだ。なんかジョーンズと似てるんだよな。あといかにもKっぽくてよかった。目つきとかね。でも若いから現代のKよりよく笑うしJに対しても友達のような感覚だ。

あとはそうだな・・・Jが未来からきたことを告げたときも、「なんだって?そんなわけないだろクレイジーなやつだぜ!」からの「オウ、マジだったのかよ・・・」みたいな茶番があんまりないのもよかった。

『2』で味をしめたのか、最後はイイハナシダナーで終わるんだが、そのイイハナシダナー度がかなり高い。というか、今回はそのイイハナシダナーに向かって物語全体が進んでいくから、物語としてよく出来てると思った。どんでん返しみたいなのもあるし、死なないでくれ!って思わせるような人はちゃんと死なない。

過去2作よりややシリアス寄りで、ファミリー感は少し薄れるけど、でも、ひとりで見てよし、カップルで見てよし、友達と見てよしな楽しい映画だったと思う。なにより、10年前後の思い出があるシリーズの最新作なのでそれが見れたというのもよかった。

なんか小学生並の感想だけど、いいんだ、『MIB』だから。


・・・・あれ、そういえば予告編で壁の落書きに話しかけるシーン、本編になかったような・・・