TWICEのコンサートにいった!

晴れ。少し暑いかも。昨日くらい暑くてもいい。梅雨嫌いなので。こんばんは、キム・ダヒョンです。この記事はコンサートに行った感想記事であるが、俺はネットにウケるキャッチーでインスタントなレビューは書けないため、最初から最後まで全て、好きだけ尺を使って書く。それが当ブログの持ち味と信じて。

昨日はTWICEのワールドツアー『Ready to be』の日本公演に参加してきた。調布の味の素スタジアムで行われた、TWICE初となるスタジアムライブである。彼女たちと同様、この俺にとっても初のスタジアムだったが、新鮮な景色がたくさんだった。到着すると、開場はまだなのに人、人、人。物販を買ってから行くあてもなく待っているようだ。おまけに路頭では、買いすぎた物販を定価で転売している人々もいた。法的にどうなのかは知らないが、手慣れた風だったのでよくある光景なのだろう、ランダム要素のあるトレカ(死語)などの余剰分を捌いているようだった。

会場に入ると、まずその広大さに驚く。初めてスタジアムというものに入ったが、これが人間の作った建物だということに恐怖すら覚える広さだ。さらに驚くのは、ステージに設置された巨大なスクリーン。写真NGなのでここに掲載はできないが、ただの四角いスクリーンではなく曲線を用いた有機的なデザインになっており、そこにメンバーの巨大映像が映し出されている。俺は下層スタンドと呼ばれるエリアでの鑑賞で、ステージのほとんど真横に近いところだった。スタジアムなので当然椅子に座っているが、ライブが始まると(というかその兆候が感じられた瞬間に)観客たちは総立ちになった。え?立つの?座ろうよ、と思ったものの余りの熱気に俺も立つ。

1曲目"set me free"が始まる。せりあがりにTWICEの9人が横並びに立つ。黒いボンテージスーツのような衣装。舞台装置と角度の兼ね合いで俺はその9人を直接は見られなかったのだが、スクリーンに映された9人は威厳たっぷりである。せりあがりを降りてステージへ歩いてくると割れんばかりの歓声。曲の決めポイントに合わせてみんなが叫ぶ。2曲目"I can't stop me"が終わり、MC、3〜6曲目までを立て続けにパフォーマンスした。その後、ナヨン、ジヒョ、ジョンヨン、チェヨンの4人がMC、「自分たちはTWICEのビジュアル担当チーム」と言っていた。日本人メンバーがいないなか、日本語でのMC、ありがたくて涙が出る。

観客にウェーブさせたり、しばらくMCした後に、各メンバーのソロステージ。最初はダヒョン(好き)。得意のピアノを弾きながらの歌唱。きれいだ。好き。キスして。次いでツウィはハンサムな衣装とダンス、3番手のサナは真っ赤なシャツをはだけて、びっくりするくらいセクシーなパフォーマンスでドキドキした。4番手はモモ、歌唱ではなくダンスのみのパフォーマンスだがダンシングモシーンの本領発揮であった。5番手のミナもまたキャラに合わず?セクシーなダンスを取り入れたアグレッシブなパフォーマンスだった。

ソロステージの前半が終わると、バンドメンバーが登場、しばらくセッションの後、"feel special"のイントロを演奏が始まると観客のボルテージがまた上がる。この、生バンドを取り入れたステージは今ツアーが初の試みだとジヒョが言っていた。1番のAメロBメロをまるまるバンド演奏した後、白くファンシーな衣装にチェンジした9人が登場、サビから一気に歌い出す。同時に火薬がドン!、粋な演出である。さらに中盤では、演奏を止めて、サビをジヒョがアカペラで歌い上げ、ラストの大サビへ繋がる非常に熱いアレンジもあり非常にエモーショナルなステージとなった。そこから、"cry for me"→"fancy"→"the feels"とリード曲が続き、中盤のヤマとなる。

"the feels"が終わると、先ほどソロステージをした、ダヒョン、ツウィ、モモ、サナ、ミナがMC。各ステージの振り返りをしていた。その後、残りのメンバーのソロステージへ。オリジナル曲を弾き語るチェヨン、圧巻のボーカルパフォーマンスのジヒョ、自身のキャラクターを存分に生かしたジョンヨンのパフォーマンスに続いて、ナヨンの"POP"。実は俺が今回のライブで楽しみにしていたのがこれ。めちゃくちゃ聴いてたし、ナヨンの魅力を再確認するきっかけだった。この"POP"もバンドアレンジになっており、途中にダンスブレイクも足されて満足度アップ、ソロステージで唯一、銀テープの特効が使われていた。

ナヨンのソロステージでしばし幕間、9人横並びのスタンドマイクでの"queen of hearts"。衣装はデニムにラインストーンが散りばめられたものに変わっている。さらに往年の名曲たちのメドレーへと続く。そして"alcohol free"→"dance the night away"→"talk that talk"で本編が終わる。特にラストの"talk that talk"は今ツアーでは歌終わりにダンスブレイクがプラスされており、そこで花火もあがったりして大変よかった。

その後はメンバーの衣装チェンジやゴンドラ準備の間、観客席カメラを用いて客いじり的な時間があり、ゴンドラに乗っての"hare hare"→"happy happy"→"candy pop"。ステージ上で"when we were kids"→"crazy stupid love"。その後、このツアー恒例のルーレットでのラスト曲。日本公演ラストは"strawberry moon"と"BDZ"で幕を閉じた。

 

ふう、ここまでライブの流れを書き出しながら改めて思ったが、凄まじいボリュームである。ソロステージを含んでいるとはいえ、トータルで31曲。3時間に及ぶステージである。平沢進のライブに行くと20曲くらいで、後半はふうふう言いながらやってるので、彼女たちがあまりにエネルギッシュで驚いた。双眼鏡持参で臨んだが、これは本当に大正解で、彼女たちの表情をよく見ることができた。本当にみんな頭が小さくて痩せてる。痩せてるといってもガリガリではなく筋肉質でしっかりしており、女性らしいしなやかさも感じさせる、"可愛さの全部"みたいな存在だ。その存在がコンサートをするために、凄まじい数の人員が動員されている。短期バイト的なスタッフ、おそらく派遣できてるスタッフ、警備会社、運営会社、鉄道、警察に至るまでがTWICEのために動員されている。100人や200人ではきかない人数だろう。最後のMCはナヨンがたっぷりと話してくれて、「スタッフの皆さんにも感謝です」と述べていた。この、スタッフへの感謝の辞というのはMCの定番だが、なるほどこれだけの人数が動いてたらそう言うわな、とつくづく思った。つくづく思ったが、少しして思い直した。感謝をするのはTWICEではなくむしろスタッフ達なのかもしれない。彼女たちが来るというだけで数百人単位の雇用が生まれる。街は潤い、人も潤い、jypも潤う。おそらく昨日のコンサートは何某かの媒体で売り出され、また誰かを潤すだろう。まったく感謝されるべきはTWICEである。彼女たちが稼いだ金が多くの人々に分配されているのだ。

彼女たちのステージを見ながら、俺は彼女たちの人生を考えていた。あまりに遠い存在を見ると、その軌跡を辿りたくならないだろうか?俺はなる。皇室スペシャルとかめちゃ見るし。彼女たちが彼女たちであるだけでファンは金を払う。この存在になるまで、体型維持やトレーニング、ファンへの対応や諸々の撮影など、どれだけの努力を重ねただろう。それで何を得ただろう。膨大な富と世界的な名誉。そして何を失ってきたのだろう。モモはいつだったか、「親密な友達ってメンバーくらいしかいないかもしれない」と話していた。食べる物も行く場所も全てが注目される存在、そうなるために捨ててきた多くのことに思いを馳せたりした。何も知らないけどね。意外とそんなものはないのかもしれないけど、まあ二郎とかは食べることはないだろう。そしてなにより、彼女たちはいつまでTWICEでいられるのだろう。俺の愛するダヒョンはまだ24歳だ。24歳!弊社でよちよち仕事をしているピヨピヨ若手社員でさえ26,7歳であるのに、それよりさらに若い。そんな年齢で世界各国のファンにサービスをし、数万人の前でパフォーマンスをする。ファッションショーに出席してセレブリティたちと交流し、暇があればSNSを更新する。コンサート終わりにダヒョンからバブル(公式LINEみたいなもの)が飛んできたが、日本のコンサートそのものには触れず、「韓国に戻ってきました!」と自撮りをあげていた。なぜか?TWICEのファンは世界中にいる。バブルとは、"わたし(アーティスト)とあなた(ファン)の空間"だから、「日本の皆さんありがとう!」なんて発信は許されないのだ。俺なら正気でいられない。自分が何者なのかわからなくなったりするんじゃないだろうか。そもそも俺が24歳のときは、ネットの訳分からんクソ女に突っかかって毎日歯軋りをしていた。もし、ここから10年経ってもまだ彼女は34歳。その時TWICEはどうなっている?その時彼女はいまと同じように輝き続けられるのだろうか?そうあって欲しいと思うが、わからない。アイドルのエンターテイメントとは、つくづくポルノだと思った。人が、人前で歌ったり踊ったりする。観客は、それが気に入っている間は熱狂する。「人柄がいい」だの「関係性が尊い」だの言ってみるが、興味が薄れた途端、あっという間に離れていき、ビタ一文、金を払うことはない。だからアイドルは、関心を引き留めるためあの手この手で魅了しようとする。ダンスや歌唱のレベルは様々だが、結局のところアイドル活動とは"可愛い"というポルノに収斂していくものならば、TWICEたちの活動もまた、若さに担保された儚い花火かもしれない。まあ、彼女たちは既に、残りの人生を支えるに足る財をなしているだろうし、いまの名声があればこの先に出来ないことなどほとんどなかろうから、俺が何を心配するでもないのだが。

ついでに言うと、終始笑顔でファンに手を振り、日本語を話し、一生懸命パフォーマンスをする姿に、プロの労働の美しさをみた。俺もTWICEも、これを読んでいるあなたも同じ労働者である。人にできないことをして、その対価で生きている。そういう意味で、コンサートとは紛うかたなき労働であり、なにも彼女たちの趣味で俺たちに微笑みかけてくれているわけではない。それでも、あれだけの人数を熱狂させ、実生活では何の役にも立たないグッズ(これは神への供物である)を買わせ、経済を高速回転させる。尊敬に値するビッグビジネスウーマンたちであり、コンサート終わりには、現実への忌避感よりも労働へのモチベーションが上がったくらいだ。

さて、今後TWICEのコンサートに参加できる機会もあるかわからないので長々と一から十まで書いたが、本当に滅多にない経験で、かなりの疲労を代償にしたが、それに足るほどの世界的なパフォーマンスを見ることができたことを感謝したいと思う。アンニョン。