今年の冬は何着ようか

一昨年あたりから、冬服はあまり売れなくなってきている。
特に去年は暖冬ということで、どのブランドもかなり早期からアウターのセールを始めていた。

今年は2、3週間前ほどから気温がさがり、百貨店でも重衣料が売れ始めてきた。

冬物はいまこのタイミングがいちばん揃っている。あと少しでセールが始まる。
買うなら今だ。いますぐ買え。

さて、そんなわけで今年、個人的に気になっている冬服を紹介していく。


THE NORTH FACE
BROOKSRANGE ¥77760 ⇒ZOZO


今年はダウンが気になる。これまで本格的なダウンジャケットは着たことがなかったけど、90年代ノリもあって、チラチラと視線を送っているところだ。
このノースフェイスのものは、なんてことないダウンジャケットなように見えるが、古着では発掘されるとちょっとした騒ぎになるような名作の復刻。
通な人には懐かしく、若い世代には新鮮な、90年代ノリのアウトドア。
丸いベロクロテープや長い着丈、ボリューム満点のシルエットでなんともクラシックな雰囲気。
しかしながら、表面の素材はウィンドストッパーで風を通さず、中身は光電子ダウンという、ノースフェイスお得意の高機能素材。現代的にアップデートされている。

カラー展開は、ブラック、グレー、ネイビーの三種類で、特にグレーは都会的でモードな印象。
今年買うならこれかな、というくらいかっこいい。


CAPE HEIGHTS
BOWERBRIDGE ¥42120 ⇒ZOZO

このブランド、LLビーンなどのOEMを請け負っていた老舗メーカーらしいのだが、
何故か今年からインラインの発売やセレクトショップとのコラボなど、やけに活発に商品を展開している。
代理店ができたのかしら?よくわからないけど、なんだか安心感のある面構えをしている。

ダウンのトレンドは、ここ数年はもっぱらツヤなしの生地と、もったりしたシルエットだ。
大流行中のカナダグースも、テカリをおさえた表生地と、しっかり詰まった中身、
大きなポケットやフードなど、重量感なある仕上がり。

モンクレーやタトラスなどの、光沢が強いダウンは、いまやホストか鼻持ちならない成金趣味でしか着られることはない。
キムタク御用達のレザーダウンなどもはやコスプレの域だ。
ダウンを着るなら、もっさり感を消すのではなくそれを楽しむ着方へ向かう流れがある。
1枚目のノースフェイスも、このケープハイツも、あくまでクラシックなアウトドアウェアを標榜しつつ、
シルエットや機能の変更で現代になじむようアップデートされている。


CRESCENT DOWN WORKS
NORTH BY NORTHWEST ¥42000 ⇒ZOZO(なぜかやたら高い上にカラバリがない) ⇒楽天(オススメ)

こちらも老舗のダウンウェアメーカー、クレセントダウンワークス。
ダウンベストなんていつ着るんだよ、という声もあるが、持っているとなかなか便利な上に、ダウンジャケットよりもずっとオシャレにダウンを楽しめる。
クレセントダウンのダウンベストは、イタリアンベストとよばれるタイプが有名なのだが、
個人的にはこちらの、ノースバイノースウェスト(通称NBNW)の方がおすすめ。

イタリアンベストよりも着丈が短いためレイヤードしやすく、ジップでの開閉が非常にスムーズで、何より、裾のとんがった、ジレのようなデザインが秀逸。
最初はダウンが分厚いのでアウター扱いだが、ダウンがつぶれてきたらインナーダウン代わりにしてもかっこいい。
外でも中でも使いやすいデザインと、他の服とも馴染みのいいカラーバリエーションでとってもおすすめ。

きちんとした代理店がないのか、有名セレクトショップではあまり取り扱いがないため、楽天やアマゾンで探すのがいいだろう。


ところで、近年、インナーダウンという概念が市民権を得てきたが、そもそもダウンというのはインナーとしての出番が多い。
冬のアウトドア(雪山登山とか、スキーとか)の場において、ダウンを一番上に着るのはリスキーだ。
ダウンは天然の羽のため、水に弱く、濡れると保温力が大きく落ちるという欠点があるし、そもそもダウンそのものに風を防ぐ役割がない。

服を着て暖かいと感じる機構は、二つの要素がある。体温を保つ保温と、風から守る防風。
野原で焚き火をしても、風が吹いていれば、いくら火が温かくても意味がないし、かといって、風除けテントを張っただけでも温度は上がらない。
風を防いで、熱源を確保して初めて暖がとれるわけだ。

衣服についていえば、熱源は基本的に自身の体温なので、いかにこれを逃さないかが大事になってくる。
ダウンやフリース、ニットなどの、ミッドレイヤーと呼ばれる衣服たちは空気の層を含んで体温を保つ機能を担っている。
しかしこれらだけでは、水や風に対して無力すぎる。
ミッドレイヤーの上に、ナイロンや密度の高いウール、ゴアテックスなどの防風素材(アウターレイヤー)をまとうことでようやく冬のレイヤードが完成する。
もちろん、ダウンジャケットの表面はナイロンなので風はある程度防げるし、街中で冬山武装をする必要はないのだが。

閑話休題、紹介に戻ろう。


PATAGONIA
DAS PARKA ¥42120 ⇒公式通販

最近、やたらと環境問題に意識を傾けているパタゴニアの定番モデル、ダスパーカ。
中身はダウンではなく、化学繊維のプリマロフト。
水濡れに弱いというダウンの欠点を補うべく登場した機能性素材で、ダウンよりずっと少ない量で保温性を確保し、濡れてもそれが維持される。
このダスパーカは、もともとは、前述のアウターレイヤーのさらに上に着る用途としてつくられた。
冬の山がどれほど過酷かは知らないが、あったかインナーにぽかぽかダウン、がっしりゴアテックスを羽織ってもなお、暖かさが要求される場面があるのだろう。
そんなシチュエーションで、こいつをガバっと羽織る。
そのため、昔はかなりルーズなシルエットで、街中で着るにはでかすぎたのだが、
古着市場などでの人気を受けてか、近年は街着に耐えられるように、少しだけ細身になったらしい。

本格的なダウンより安いし、ずっと軽くて洗濯機で洗えるもんだから、すごく欲しいのだけど、カラーバリエーションが、写真の青と黒しかない。
ちょっといまいちじゃない?



US ARMY
MONSTER PARKA ¥40000弱くらい?古着のため変動あり

ミリタリーウェア、というと、MA−1みたいなナイロンものとか、M−65みたいなオリーブのコットンサテンのものを思い浮かべるかもしれないが、
これが現代のミリタリーウェア。アメリカ軍の特殊部隊用につくられていた、モンスターパーカという製品。

服の意図はダスパーカに近く、フリースもアウターも着込んだうえで、さらに羽織るためにつくられている。
中身は濡れても平気なプリマロフトで、表地はナイロン。
邪魔にならないように、フードは収納式で、装備の入ったリュックを背負った上からでも羽織れるようにスーパーゆったりシルエット。
上下から開けられるダブルジップの上には、グローブしても開け閉めをしやすい、大きなマジックテープの前立て。
なにより、この後ろの着丈が長いのが面白い。

うーん、この、機能を追求した結果できあがった、ソリッドで少し不気味な感じ。非常によろしい。
あのNハリウッドも、このモンスターパーカを復刻して発売しており、最近ではフロム・ザ・ギャレットというブランドが復刻している(売り切れている)。
これだけゆとりのあるシルエットだと、街着程度のレイヤードでは風が入ってしまうのではないかと心配だが、この他にないボリュームと、シルエットはとても魅力的。
ここにいけば必ず買える!というものではないが、ぜひ紹介したい服。


MONBELL
スペリオダウン ラウンドネックT ¥10584 ⇒公式通販

インナーダウンブームの先駆けといっていいモンベルの丸首ダウンシリーズ。
これは本当にいい。安い、軽い、暖かい。これさえ着ていれば重たいコートもかさばるダウンもいらない。
ノースリーブ、半袖、長袖と三種類あるが、半袖が珍しいのでおすすめ。いや、レイヤードしやすい袖で選んでもらえばいいけど、とにかく本当にコスパがいい服。


BARBOUR
WASHED BEDALE SL ¥52488(セール価格)⇒ZOZO

ダウンばかり紹介したので少し向きを変えて。
大ブームも去り、古着通だけじゃなく、一般のファッショニスタたちにとっても定番アウターの市民権を得たバブアー。
そんなバブアーから、今年は加工モデルが発売されている。

バブアーやベルスタッフのような、オイルドジャケットの悩ましい部分は、生地に染み込ませたオイルが手指についたり、匂いがあったりすることだ。
オイル自体の品質が向上したこともあり、現代では新品のバブアーでもほとんど匂いはしないのだが、見た目的にかなりギトついた印象はある。
このウォッシュモデルは、その名のとおり洗い加工によって、オイル抜きを施したものだ。

オイルを抜いてしまえば、なんてことはないただのコットンジャケットなのだが、今まで自分でオイル抜きをしていた人たちもいるのだから、
本家みずからやってくれているなら話は早い。セールになってるし、これからバブアーが欲しい!という人にはこちらがおすすめ。
着こんで味を出したいという通な人には向かないが。


ADDICT CLOTHES
AD−WX−03 ¥???(発売前のため不明) ⇒公式サイト商品説明

個人的に激押しブランドのアディクトクローズ。ここのオイルドコットンジャケットは、2年前から愛用しているが、非常に使いやすく、シルエットも綺麗。
そんなアディクトの今季の新作が、同社が腕によりをかけて作った定番オイルドコットンを使ったコート。
ちなみに、この形は、今年バブアーからも、「ソルウェイ・ジッパー」という名前で発売されている。
なんでぇ、色といい形といい、バブアーのパクリか!?と思った愚かなあなた。そうではない。
オイルドコットンを利用したこうしたコートは、当時イギリスでは沢山のブランドから出されていた。襟のコーデュロイ使いやオリーブグリーンのカラーは、
おそらく狩猟用を意図したものだろう。バブアーがパイオニアだったことは確かだろうが、アディクトや他のイギリスのブランドがぱくったということではない。

アディクトのアウターは作りが非常に細く、中に着込むことには限界があったが、このコートなら分厚いセーターの上に羽織ることができる。非常にほしい。


JAMES GROSE
MANILA ¥135000 ⇒ZOZO

今年ライダースを買うならこれがおすすめ。
イギリスの老舗ブランドのJAMES GROSEは今年から本格的に日本で展開されてる。
伝統的なイギリスのライダースジャケットを踏襲しつつ、モダンな雰囲気に。

革は柔らかでツヤの少ないシープや、硬さと光沢のあるカウなどがあるようだが、そこはお好みで。
カラーは写真のネイビーがおすすめ。ネイビーのレザーというと変化球なようだが、
イギリスのライダースではカラーものは比較的メジャーだし、黒ほど重たくならず合わせやすい。

ところで、革ジャンというのは暖かくない。防風性と耐久性はあるが、革に保温性はない。
気温が低いと、革自体もきちんと冷えるので、真冬に着るものとしては、ぶっちゃけそんなに適さない。
そんな時にどうするか。先に紹介した、クレセントダウンのNBNWを重ねてみる。こんなふうに。


(徳島のセレクトショップ、「ボーイズマーケット」の津保さん ⇒ブログ

ライダースの上にダウンべストなどを重ねるコーデは上級テクニックのように見えるが、機能的な側面もある。
昨年の冬、俺もシープスキンライダースの上に、このNBNWを重ねてみたが、本当に暖かい。
もちろん腕は出してるから寒いのだけど、ライダースだけでいるのと段違いなのだ。
アホに見える人はやらなくていいが、暖かいから。ほんと。ほんとよ。


ANDERSEN−ANDERSEN
SEA MAN ¥37800 ⇒ZOZO ⇒楽天(ボーダー柄)

昨年の爆発的なヒットを受けて、バリエーションを大幅に増やしたアンデルセンアンデルセン
定番のクルーネックセーターは、レッドとキャメルを登場させたが、こちらは完全に新しい形。

クルーネックよりも目の詰まった7ゲージの編み立てで、形はよりガンジーセーターに近づいた。
袖幅をとり、肩が落ちるデザインは、クラシックながらも今年のトレンド。
より軽い仕上がりになっており、お値段も抑えめ。ボーダー柄は、手持ちの服により取り入れやすいのでは。

今年はセーターのほかに、マフラーを1型、ニットキャップを2型発売中で、そちらも購入検討中。


今回はこんなところだ。じゃあな!